株式、投資信託、ETF、FX。商品一覧にはさまざまな名前が並びます。ただし、それぞれが同じ種類の分類とは限りません。株式は投資する対象であり、ETFは商品としての形、信用取引は資金や証券を借りる取引方法を表します。

この違いが分かると、「投資信託を増やしたから分散できた」「現物で買ったから中身も単純」といった見落としを減らせます。ここでは対象資産と持ち方を分け、実際の商品説明を読むための見取り図を作ります。

何の影響を受けるか 何を持つか どう取引するか

商品を調べるときは、三つの欄を作ってみましょう。

  • 対象:株式、債券、不動産、金など、主にどの資産や価格の影響を受けるか
  • 商品の形:株式そのもの、投資信託の受益権、REITの投資口など、自分は何を持つか
  • 取引方法:代金を全額払うのか、借入や証拠金を使うのか、どう決済するか

たとえば、国内株式のETFを自己資金で現物購入するなら、「対象は国内株式」「持つものはETF」「買付代金は全額自己資金」と整理できます。同じETFでも、対象銘柄として認められたものを信用取引で買えば、取引方法の欄が変わります。

なお、この三つは理解のための整理です。すべての商品を厳密に線引きする法令上の分類ではありません。預金のように、日常の資産分類で使う名前が契約の形も表すものがあります。

図1 対象と持ち方を三つの欄で読む
対象と持ち方を三つの欄で読む
対象・主な影響自分が持つもの取引方法の例
円円預金の契約に基づく権利金融機関へ預入れ
国内株式個別株式自己資金で現物購入
国内株式国内株式ETF自己資金で現物購入
国内株式対象として認められた国内株式ETF保証金を差し入れ信用買い
不動産上場REITの投資口自己資金で現物購入
不動産・REIT市場複数REITを組み入れるETF自己資金で現物購入
通貨ペアの為替レートFXの建玉証拠金を差し入れ差金決済
株価指数等CFDの建玉証拠金を差し入れ差金決済

代表的な関係の例であり、利用可能な商品や法令上の分類を網羅しません。具体的な取引条件は商品・業者により異なります。

預金 株式 債券 不動産 金 暗号資産の違い

預金は金融機関にお金を預ける契約です。円預金と外貨預金では、円に換算したときの為替の影響や保護の仕組みが異なります。「通貨」という対象と、「預金」という持ち方を併記すると、外貨預金とFXも区別しやすくなります。

株式は企業への出資に関わる権利です。業績や将来の見通し、市場の評価などが価格に影響します。債券は国や企業などが資金を調達するために発行するもので、利払い・償還の条件を確認します。一般的な固定利付債では市場金利の上昇が価格下落につながり、発行者の信用状態も重要です。満期や利息があるだけで元本が必ず戻るわけではありません。日本証券業協会の社債解説で確認できます。

不動産は物件価格に加え、賃料、空室、修繕費などが収支に関わります。金は金そのものが利息や配当を生む資産ではなく、価格や売買条件が損益を左右します。円で見る金価格には、海外の金価格と為替の両方が関係します。JPXの金の価格変動要因の解説(PDF)でも確認できます。

暗号資産も価格が変動する対象ですが、円やドルと同じ法定通貨ではありません。価格変動のほか、保管方法やサイバーセキュリティ上のリスクも確認が必要です。ここでは現物を購入する場合を想定し、貸出しやステーキングなど別の契約による収益は含めません。金融庁の注意点も参照してください。

これらは、安全性や収益性の順位ではありません。同じ債券でも発行者、通貨、満期などが違えば条件は変わります。資産名を知った後に、個別の中身を読む必要があります。

投資信託とETFは 中身を確かめる

投資信託では、投資家から集めた資金を運用方針に沿って株式や債券などに投資します。株式だけを持つもの、複数の資産を組み合わせるものなどがあり、「投資信託」という名前だけでは対象が分かりません。

ETFは取引所で売買できる上場投資信託です。株式、債券、REIT、商品など、さまざまな対象があります。特定の指数との連動を目指すものに加え、連動対象の指標がないアクティブ運用型もあります。「ETFならすべて同じ指数投資」とは読めません。JPXのETF解説が参考になります。

また、金に関係するETFでも、商品現物を組み入れる仕組みと、先物などを利用する仕組みでは確認点が違います。商品名に「金」と書いてあるだけで、自分が金地金を直接所有し、自由に引き出せるとは限りません。運用方法と受益者の権利は、目論見書などで確認します。JPXのETFの仕組みには複数の運用方法が示されています。

REITは不動産と金融商品の両面を持つ

REITは不動産投資信託です。ここでは日本の上場REITを例にすると、投資家は投資法人の投資口を持ち、その法人が保有・運用する物件の賃料収入などが分配の原資になります。個人が物件を直接買い、賃貸管理をする場合とは権利や役割が異なります。

投資口は市場で売買されるため、不動産の収支だけでなく、市場の需給や金利環境も価格に関わります。投資法人自身の借入も、金利負担や財務の確認点です。REITの投資口を自己資金で買っていても、投資先の借入の影響がなくなるわけではありません。JPXのREIT解説や資産運用業協会のJ-REITの説明で確認できます。

さらに、複数のREITを組み入れる投資信託やETFもあります。したがって「不動産」「REIT」「ETF」は、互いに重ならない三つの箱にはできません。

信用取引 FX CFDは資金と決済の仕組みを見る

信用取引では、保証金を担保として預け、証券会社から資金や証券を借りて売買します。株式という対象が同じでも、現物購入とは借入費用や追加の保証金、決済条件が異なります。JPXの信用取引の概要に説明があります。

FXは外国為替証拠金取引です。通貨の組合せの値動きを対象とし、証拠金を差し入れ、一般に反対売買による差額で決済します。外貨預金の残高をそのまま持つこととは仕組みが違います。金融先物取引業協会の解説では、証拠金を超える損失の可能性も説明されています。

CFDも価格差で決済する取引で、株式や株価指数などを対象とするものがあります。株式を参照するCFDを買っても、その企業の株主になるわけではありません。対象、取引単位、価格の決め方、金利等の調整、強制決済の条件を契約ごとに読みます。日本証券業協会の証券CFD解説が参考になります。

借入や証拠金を使う取引では、最初に差し入れた金額と、値動きの影響を受ける取引額を分けて確認します。また、レバレッジ型ETFのように、商品自体に値動きを増幅する仕組みがある場合もあります。現物購入という買い方だけで、商品内部のリスクまで判断できません。

商品数を数える前に 投資先の重なりを見る

架空の例で、国内株式の個別銘柄に30万円、国内株式ETFに40万円、国内株式だけで運用する非上場投資信託に30万円を持つ人を考えます。商品形式は三つですが、簡略化してすべて国内株式への投資と扱えば、合計100万円が同じ資産区分に属します。

図2 三つの商品を持っても対象が重なる例

架空例

三つの商品を持っても対象が重なる例
商品形式金額
個別国内株式30万円
国内株式ETF40万円
国内株式のみの非上場投資信託30万円

国内株式への投資 100万円

各商品の現金保有等を省いた簡略例です。形式の数は資産分散の数とは一致しません。実際の分散状況は組入先と割合で確認します。

この例だけで分散効果を判定することはできません。組入銘柄、業種、割合も見る必要があり、個別株がETFや投資信託の中にも含まれることがあります。実際の資産配分を調べるときは、ファンド内の現金なども含めて確認します。

次に確かめることは、気になる商品を一つ選び、「対象」「自分が持つ権利」「借入・証拠金の有無」を書き出すことです。三つが分かれば、次の記事「値動き・取引額・費用から損益を考える」で、金額の動きを追いやすくなります。

※一般的な金融教育のための説明です。特定の商品、売買、資産配分を勧めるものではありません。架空例は仕組みの説明用で、推奨額や将来の値動きを示しません。

参照資料